
香りを減らしたら、お茶の香りが見えてきた
お茶の仕事を始めたとき、身につけるものはできるだけ無香料にするように言われました。ヘアワックス、ヘアスプレー、洗剤、柔軟剤、ハンドクリーム。理由は、自分の香りでお茶の繊細な香りを邪魔しないためです。そのとき最初に思ったのは、お茶の香りってそこまで繊細なんだ、という驚きでした。
香りが大好きだった私
もともと私は、香りが大好きでした。化粧品は香りで選び、部屋では精油を楽しみ、お風呂には香りの強いオイルを入れる。大学では香りについて卒業論文を書いたほどです。そんな私が、身の回りから香りを減らしていきました。最近では、以前好きだった香水や精油も、それほど必要だと思わなくなりました。たまには楽しみたいと思うけれど、昔のようにわざわざ買い集めることはありません。一方で、周りの匂いにはずいぶん敏感になったように感じます。電車の中の強い香水で頭が痛くなったり、繁華街を歩いていると、食べ物や人から漂うさまざまな匂いが気になるようになりました。
代わりに好きになった香り
そして今、私を癒してくれるのが日本茶の香りです。玉露のふくよかな香り、煎茶の青々とした香り、ほうじ茶の香ばしい香り。以前なら、どれも漠然とお茶の香りと感じていたかもしれません。でも今は、それぞれに違った心地よさを感じます。無香料生活によって、本当に嗅覚そのものが変化したのかはわかりません。ただ、自分の周りの強い香りを減らしたことで、お茶の小さな香りに意識を向けられるようになった気がします。
減らしたから、気づけたもの
無香料生活は、たとえ仕事で必要なくなっても続けたいと思っています。香りを手放したけれど、振り返ってみれば、以前より香りを楽しんでいます。日本茶を知ったことで、またひとつ、私の世界の感じ方が変わりました。