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玉露で締めくくる精進料理

玉露で締めくくる精進料理

精進料理というと、質素で控えめな料理を想像していました。でも、今回いただいた竹之御所流精進料理は、そのイメージを大きく変えてくれました。約600年前から受け継がれてきたというこの特別な精進料理は、動物性の出汁を使わず、野菜そのものの味を丁寧に引き出して作られています。ひと皿ごとに感じたのは、宮中の気品や華やかさを纏った、素材の奥にある力強いおいしさでした。

「質素」ではなく、「淡味」の贅沢

「第六味」とも呼ばれる淡味(たんみ)を大切にしていると伺いました。濃い味付けではなく、時間と手間を惜しまないことで生まれる味。それは調味料では作れない、なんとも贅沢な味わいでした。和食には、こんな世界があったのかと驚かされました。

お茶は、料理の一部だった

そして、私がもっとも心を動かされたのは、お茶の存在です。食事の始まりには抹茶が供され、締めくくりには玉露。さらに最後の最後には、その玉露の茶葉までいただきました。 お茶は飲み物として添えられているのではなく、一つの料理として、この食事の流れの中に自然に組み込まれていたのです。日本茶を研究するようになってから、私は茶葉を食べることに価値を感じるようになりました。だからこそ、この締めくくりの一皿には、思わず胸が熱くなりました。600年前から続く食文化の中では、お茶はこれほど大切な存在だったのだと感じたからです。もし日本茶に興味を持っていなかったら、この料理のおもしろさには気づかなかったかもしれません。

内側へ広がっていく世界

日本には、まだまだ知られていない豊かな食文化があります。海外の珍しい料理を探す前に、日本の中にも驚きや感動がたくさん眠っています。日本茶を学び始めてから、私の世界は広くなったというより、内側へ深く広がっていくようになりました。一杯のお茶から始まって、料理へ、文化へ、歴史へとつながっていく。そんな幸せな広がりを、これからも少しずつ味わっていきたいと思います。

【お茶活メモ】竹之御所流精進料理 三光院(東京都小金井市)

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