
お茶と和菓子のペアリングについて考える
とらや本店限定の夏の和菓子 レモン入水仙粽をいただきました。葛のもちっとした食感と、ふわっと広がるレモンの爽やかな香りが印象的な粽(ちまき)のお菓子です。1914年の記録にも残っている夏の銘菓だそうで、長い年月を経て今も愛されている理由が、一口食べただけで伝わってきました。
この日は生菓子を三種類買って食べ比べをしました。それぞれのお菓子を味わったあとに煎茶を飲み、違いを楽しんでいたのですが、一番驚いたのは、このレモン入水仙粽のあとでした。
煎茶が、まるで別の顔を見せた
煎茶をひと口飲んだ瞬間、お茶の印象がまるで変わったのです。いつもの旨みや渋みよりも先に、草原を思わせるようなみずみずしい香りと、茶葉そのものの爽やかさがふわっと広がりました。他の生菓子では感じなかった変化です。おそらく、レモンの爽快な香りと煎茶が持つ青々しい香りが重なり合い、お互いの個性を引き立て合っていたのだと思います。
和菓子が「甘味」と呼ばれる理由
私は甘いものが好きなので、和菓子だけでも十分に幸せな時間を過ごせます。でも、この体験をして初めて、和菓子はお茶と一緒にいただくものと言われる意味が少しわかった気がしました。和菓子は、お茶の前に食べる甘いお菓子ではありません。お茶と組み合わせることで、それぞれの魅力をもっと引き出してくれる存在なのです。だからこそ昔から和菓子は「甘味」と呼ばれ、お茶の時間を彩る大切な一品として受け継がれてきたのでしょう。
お茶と食べ物、ペアリングのおもしろさ
最近は、お茶そのものだけでなく、お茶と食べ物の組み合わせにも興味が広がっています。どんな料理や和菓子と合わせると、お茶はもっとおいしくなるのだろう。そんなことを考えながら味わう時間は、日本茶の楽しみ方をもう一段深くしてくれます。 一杯のお茶は、それだけでも十分おいしい。でも、食べ物との出会いによって、思いがけない表情を見せてくれる。今回の組み合わせは、私にペアリングのおもしろさを教えてくれた、忘れられない夏の味になりました。